奈津子
奈津子
どうも、就活アドバイザーの奈津子です。
就活のスタートは、「適性検査」から始まります!

そこで本記事では、正しい適性検査のやり方を詳細に解説します。

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1 受験の失敗、就活の失敗

まず、皆さんがいちばん知りたいこと=なぜ就活に失敗するのか、ということからお話ししましょう。わかりやすくするために、大学受験を例に、私の失敗談から聞いていただこうと思います。

私は中央大学法学部法律学科の出身で、弁護士になりたいと思っていました。この夢は叶わなかったのですが、当時は大学に入るために一生懸命に勉強していました。
得意だった現代国語に磨きをかけるために難しい論説文に挑戦したり、難問もずいぶんと解きました。

一方、苦手だった英語は、単語や熟語を暗記したり、文法の問題集を何度もやったりしました。自分が得意なもの、苦手なものを意識し、がんばって勉強したつもりでした。

こうして受験当日が訪れました。
緊張はしているものの、一生懸命やりましたので、それなりの自信を持って臨めました。

最初の科目は得意の国語です。ここはたくさん点をとって、いい気分で苦手な英語に進めればと思っていました。問題が配られ、「始めてください」の合図とともに開きました。そのとたん、私はぎょっとしました。なんと、漢文が出題されていたのです。

当時の国語といえば、現代国語と古文が課されるのが普通でしたので、漢文はまったくやっていませんでした。授業の記憶を頼りに解こうとしますが、さっぱりわかりません。おそらく現代国語と古文はかなり点がとれたと思いますが、漢文の配点が30点くらいありましたので、最高でも60点台だと思いました。

それでも気分を変えて、「きっと英語では幸運に恵まれるはずだ」と言い聞かせ、2つ目の科目に挑みました。再び問題が配られ、それを開くと、またまたぎょっとしてしまいました。

英語の問題は大きく3問あったのですが、1間目と3間目が英訳と英作文だったのです。こちらも当時はマークシートが主流になっていましたので、筆記の出題は稀でした。授業で英訳も英作文もやっていましたが、受験用の文章なので、ポイントになる文法や熟語を意識して解答しなくてはなりません。しかしそれが十分にわからないまま、終了の時間となりました。残念ながら、6割程度しか解答できませんでした。

最後の科目は日本史でした。ここで巻き返さない限り合格はありません。苦手な近現代史が出ないように、と祈りながら、問題を開きました。すると、今度は望みが叶ったようで、近現代史は出題されていませんでした。とはいえ、問題は難問ばかりで、出題頻度が少ないものばかりが問われていました。

それらは、見た記憶はあるものの、覚えてはいませんでしたので、まったく答えられませんでした。

こうして、私の現役受験は大失敗に終わりました。おそらく受験で成功した皆さんは、「何をやってるんだろう?」と思ったはずです。試験科目が何か、出題傾向がどうなのか、その学校の試験はどのようなものなのかと事前に研究することは、受験生としての常識だからです。しかし当時の私は、一生懸命勉強していれば受かるに違いないと思っていました。ですから、予備校の先生に先ほどの常識を説か
れたときに、「なるほど」と思い、自分が受からなかった原因がよくわかりました。

過去間を研究する赤本を使っていれば、漢文があることも、英訳と英作文があることも、日本史が難問ばかりであることもわかっていたはずです。その後は、それらを攻略して浪人受験は成功し、私は母校に入学できることとなりました。

2 なぜ大学受験対策はするのに、就活対策はしないのか

さて、今の私の失敗談をもう一度思い出して、上記の図をご覧ください。

就活には誰もが一生懸命です。熱心に自己PRや志望動機の作成、SPIテスト・面接対策などに取り組んでいます。しかし図でいうと左側の採用者の視点は、果たして持っているでしょうか?

あなたが受けようとしている会社の採用計画はどうなっていますか? 今年は何人採るのですか?

もちろん、業績がよくて、たくさん人を採用する企業ほど受かりやすいものです。そしてそんなことは、会社のホームページ(HP)や新聞などを見ればわかることです。

また、あなたが受けようとする会社の選考基準はどうなっているでしょうか? たとえあなたが「行動の達人」だとしても、受けようとする会社の選考基準が「企画力」だったら受かりません。選考基準も、会社のHPで採用ページを読み込み、人事部長の発言などを探せばわかります。また日経産業新聞など専門紙には、人事へのインタビュー連載がありますので、それを見ればさらにくわしくわかります。

これだけではありません。あなたの受けようとする会社はどんな試験をしますか? 試験はいつから始まり、何回あるのですか? その内容はどういうもので、どんな質問がされるのですか?

私は試験の内容を知らないで、大学受験に失敗しました。受験に成功した方は、お粗末なことだと思ったかもしれません。しかし、あなたも同じ間違いをしようとしているのではありませんか?

試験の時期や内容も、専門の書籍やコミュニティサイトを見ることで簡単にわかります。グループディスカッション(GD)が苦手なのに、銀行を志望していて、一次面接に行ったらGDだったと驚く人がたくさんいます。これでは受かりませんよね。さて、ここで結論です。なぜ就活はうまくいかないのか。

それは、私が出題者の視点を知らないで失敗したように、就活生が「採用者の視点」を知らないから失敗するのです。逆にいえば、採用者の視点さえ理解すれば、内定までの距離はグッと近くなります。

とすれば、就活を成功させるためには、採用者の視点で考えればいいということになります。そして採用者視点で就活を考えるならば、次のような疑間を解決していけばいいのです。

  1. 採用とは何か?
  2. 採用試験では何を見ているのか?
  3. いま、内定をとるために、何が問題となっているのか?
  4. 自己PRと志望動機、やりたいことをどう考えればいいのか?

これらについて、順にくわしく解説していきましょう。

3 就活は、能力による相対戦ではなく、適性検査による絶対戦である

まずは、「採用とは何か?」について説明します。

これを理解していただく前提として、「経営戦略」をわかってもらわなくてはなりません。企業にとって最も重要なものが経営戦略です。これは、目標とする売り上げ、利益を達成するために、どのように事業を行っていくかを決めることです。

たとえば富士フイルムは、その名前の通り、写真フィルムで成功した企業です。しかしデジタルカメラやスマホに内蔵しているカメラで撮影するのが当たり前の今、もし写真フィルムだけで押していたら、すでに会社はなかったかもしれません。

富士フイルムはアナログからデジタルヘの転換期に、画期的な経営戦略に打って出ました。それは、写真フイルムで培った抗酸化技術やナノテクノロジー、コラーゲン技術を活用し、これまでとはまったく異なる分野である化粧品業界に進出するというものでした。こうして生まれたのが「アスタリフト」です。機能性化粧品という新しいカテゴリーをつくり、大ヒットを収めたのです。この戦略が奏功して、富士フイルムは今も大企業として君臨しています。

「経営戦略」の下位にくるのが「組織戦略」です。これは、経営戦略をどのような組織、人材で実現するかを決めることです。

皆さんにも経験があることだと思いますが、新しいことをするときには、新組織をつくりますね。たとえば、サークルでもゼミでも、「新執行部」、あるいはそれほどかしこまっていなくても「新チーム」をつくって、新しいメンバーを集めます。これは会社でもまったく同じです。

写真フィルムから化粧品と、まったく異なる仕事をするようになるのですから、組織を刷新し、後者に適した人材を新たに採用する必要があります。

したがって、この「組織戦略」の下位に採用計画がきて、まず中途採用が行われます。足りない即戦力をすぐに補充することが優先されるからです。最近は中途採用が活発で、それを告知するテレビCMも大量に放映されていますよね。日本はここ数年不景気に苦しみ、十分に新卒者を採用できませんでした。この状況を改善するために、中途採用が活発なのです。

そして最後にくるのが、新卒採用となります。経営戦略←組織戦略←中途採用の次にくるのですから、そこには明確な考え=選考基準があるはずです。

たとえば、企業業績がよくて、経営戦略で新規事業を強化しようということになれば、その要員を補充するために、「論理的思考力があり、コミュニケーション能力に優れ、時事に明るい人」という選考基準を定めます。この選考基準に則って、採用者はそれに適した人を選ぶのです。

就活生の多くは就活を、たとえば5人集められた者の中からいちばん優秀な人を選ぶ、能力に基づく相対戦と考えています。しかしこれは間違いです。明確な選考基準に従って、それに適した人を選ぶ、適性に基づく絶対戦なのです。ですから、選考基準を知り、自分の適性を知って、両者の整合を考えることが最も大切です。

 

4 就活最大のキーワードは、適性検査にアリ

では、採用試験はどのように行われるのでしょうか?

たとえば先ほどの「論理的思考力があり、コミュニケーション能力に優れ、時事に明るい人」という選考基準があると仮定して、どのように選考されるかを述べたいと思います。

まずは、論理的思考力。これは適性検査で判断します。論理的思考力は面接でも検査できますが、長い時間が必要となります。後述しますが、データで見ると選考は、内定までに平均3.3回、37日という短さです。一つひとつの選考が長くなることは避けなければなりません。ですから、適性テストを使って効率化するのです。

次のコミュニケーション能力は、面接で判断します。これは筆記テストで判断するのは難しいですよね。ですから直接会い、話して見定めるのです。

最後の時事は、 一般常識テストで確認します。これも面接で判断できないことはないのですが、やはり時間がかかってしまいます。もちろん知識を正確に把握する必要もありますから、筆記テストが向いています。

つまり採用試験は、選考基準への適性をいろいろなテストで検査していると言えます。ですから、1回ではなく、異なる種類のものを複数回行うことが必要です。そしてこの選考基準をクリアできる人、言い換えれば、「適性がある人」が採用されるのです。

先ほど、就活は「能力による相対戦」ではなく、「適性による絶対戦」だと述べたことの意味がおわかりいただけたでしょう。

時折、成績はものすごくいいのに、どこからも内定が出ない学生がいます。これは、能力はあるのですが適性がないため採用されないのです。ですから、就活生ができる最大の攻撃は、「自分の適性」を知って、それをアピールすることに尽きます。逆に言えば、自分の適性に合った会社を選んで、そこを受けることが内定への早道と言えます。

 

5 会社選びにまつわる大きな落とし穴

さて、自分の適性に合った会社を選ぶと述べましたが、これはそんなに難しいことのようには思えないでしょう。就活でよくある適性検査を受けて、その結果を十分に検討して、会社を探せばいいだけのことですから。

しかし、結論から言うと、「自分に適性のある会社」探しはとても難しい行為です。
図113をご覧ください。これは私が、40人の就活生にインタビューして得た「なぜ自分に適性のある会社を選ぶことができないのか」の理由をまとめたものです。「自分に適性のある会社」を選べないのは、プラス方向やマイナス方向への「ズレ」が原因なのだとわかります。これらもくわしく見ていきましょう。

まず、プラス方向へのズレからです。これには2パターンが見られ、私は「憧社」「好社」と呼んでいます。前者は、たとえば子どものころからテレビの仕事に憧れていたのでテレビ局やテレビに関する会社を選んでしまう、というようなケースです。

一方後者はここまではいかないものの、その会社のイメージが好きだというような理由で会社を選んでしまうケースです。ブランドや広告、ひどいものになると本社の場所やロゴのデザインが好きだという理由までありました。

次にマイナスの方向にズレてしまうケースは、私が「受社」「低社」「代社」と呼んでいる3パターンです。受社は、内定が欲しいばかりに、会社に受けのいいことを言ってしまうものです。とくに多いのが、「営業がやりたい」と言って内定をもらうのですが、本当はそうではないので、結局、内定を辞退してしまうというものです。

低社は、自分の尺度で「ここなら自分のレベルより低いだろう」と思い込むパターンです。よく聞くのは、大手の関連会社を狙うというものです。大手は難しいだろうが、その関連会社ならば大丈夫だろうと勝手に思い込みます。しかし、会社のほうも「内定を出しても辞退してくるだろう」と思うせいか、うまくいきません。とはいえ、自分よりも低いレベルだと思っていた会社から落とされるので、余計に心を乱すことが多いようです。

最後の代社は、たとえば広告会社ばかりを受けて全滅した人が、広告出稿の多い会社を代わりに受けるようなケースです。心は広告会社にあるのに、その代わりにちょっと関係が強いだけのまったく違う会社を受けるわけですから、すぐに見抜かれ、お祈リメール(落選通知)がくることになります。

 

6 なぜあなたは「正しい適性判断」ができないのか?

どうしてこのようなズレが起きてしまうのでしょうか?
私はこれら5つの誤リパターンを総称して「誤社」と名づけています。誤社を選んでしまう原因は大きく3つあります。

1つ目は、いい加減な企業選択をしていることです。私がインタビューした結果、あまり就活がうまくいっていない就活生から、6つの問題点が抽出できました。

①世の中にどんな仕事があるのかを知らない

学生は仕事を知りません。営業は嫌だと言いますが、営業と販売との区別がついていません。もちろん販売促進との区別もつきません。「1対1で商品を売るのが嫌だから営業は嫌だ」と言うので、「それは営業ではなく販売でしょう」と聞くと、驚いた顔をします。同じように、開発と企画、製造の違いもわかりません。製品をつくるのか、商品をつくるのか。それらの計画を立てるのか、遂行、管理をするのか、その違いもよくわからないのです。

最近はキッザニアのように、子どものころから、どんな仕事があって、どんな内容なのかを体験できる施設もあります。しかし多くの就活生は仕事の知識を持っていません。これが原因で、後に挙げる⑥ のような、「自分が何をやりたいのか最後までわからなかった」という結果にもなってしまいます。

とはいえ、どんな仕事があるのかは、インターネットで検索したり本を読んだり、調べようとすればすぐにわかることです。結局は、まじめに就活をしていない、努力が足りないということに尽きるのです。

②どんな業界があって、どんな特徴があるのかを調べていない

多くの就活生の企業選びはいい加減で、いきなり「どの会社を受けるか」から考えてしまいます。それも有名であるとか、広告が好きだとかいう理由で選びます。その業界の業績がいいとか、有望であるとかいったことを考えている人はほとんどいません。

とはいえ社会には、会社が名門であっても業界が苦しいという場合があります。マスコミ、とくに出版業界などは顕著で、名門や大手であっても業界のシュリンクに抗うことができず、ジリ貧という会社も多く見られます。

こういう場合、会社側は「なぜこの業界を志望するのか」ということを気にします。なにしろジリ貧なのですから、それを覚悟で入社する意志があるのか、あるなら、それはどういう理由なのかを確認したいのです。入社してすぐジリ貧であることを知られ、辞められてはたいへんな損害になりますから。

この「入社してすぐの離職」を大きな問題と考える最近の就活では、とくにこの質問を、「あなたの就活の軸はなんですか?」と聞く形で行います。この質問はかなり頻繁に聞かれるのですが、就活生の多くは正しく答えることができません。なぜならこの質問が、「業界」について聞かれていることに気づかないとともに、「業界」について考えていないからなのです。

③企業をしっかり選ばず、思いつきで受けている

私の生徒に、早稲田大学の男性がいました。彼は幼いころから優秀で、現役で早稲田大学の文系に入学。勉強も滞りなくやって、いざ就活というとき、「文系の誉れの業界はどこだろう?」と考え、機械的に金融業界を選びました。そして、外資の大手証券会社に内定しました。

ところが内定者懇親会に行き、社員や内定者と話をしたところ、話がまるで合わなかったそうです。さらに、いざ業務内容について知ると、証券という仕事にもまるで興味が持てなかったそうです。悩んだあげく、彼は内定を辞退して就職浪人し、金融業界とはまったく毛色の異なる、大手のネット広告会社に内定しました。今度はしっかり業界も会社も調べたので、内定者懇親会でも満足できたそうです。

この話は「文系の誉れ」という自動思考が、自らの選択を阻害し失敗した例として、いつも紹介しているものです。こういう姿勢が「自分に適性のある会社」への内定を阻んでいるのです。しかし圧倒的多数の就活生が、こういう姿勢で就活に臨みます。さらに残念なことに、就活生の両親にもこういう考えの方たちが多いようです。

④企業を考えずに、自分のことばかり考えている

多くの方が、就活というとまず自己分析を行います。これに対して私は反対の立場をとっています。

第一に、分析といいますが、正しい軸を設定して行っている人は皆無です。その多くが、自分史となっているのが実情でしょう。これでは分析とは言えませんし、何が強みや弱みで、どのように自分のよさを設計すればいいのかがわかりません。

第二に、自己分析をやろうと思うや否や自己PRをつくり、それですべてが終わった気になるからです。さらに自己PRさえできていれば、内定できるのだと思い込んでしまいます。

しかしこの自己PRは、「自分に適性のある会社」のことを考えていない、自己中心的なものです。ですから、自分には価値があっても、「自分に適性のある会社」にとってはまるで価値がないというようなことが起こり得ます。いや、起こり得るというよりも、それがほとんどだと言ったほうが正確です。

自分にとってだけ価値がある自己PRを、どんなにたくさんの会社に話しても内定をくれるはずがありません。もしくれたとしても‐適合していませんから、いずれミスマッチであることに気づきます。これも3年で3分の1が離職するという状況を引き起こしているのです。

⑤ラクして暮らすことを前提に就活している

「毎日定時に帰り、土日は休み、自分の趣味を楽しみたいのですが、どのような会社がいいですか?」という質問をされることがあります。最近の若い人たちは若いうちから自分の人生を悟ったような言動をすることから「さとり世代」と呼ばれますが、それを象徴するような質問です。

サービス残業を強いたり、休日をほとんど与えないブラック企業はいけませんが、好景気となった今の日本で、民間企業を志望してラクをしたいというのでは、なかなか内定は難しいように思います。もし上記のような希望があるのでしたら、民間企業ではなく、公務員を目指したほうがいいでしょう。もちろん公務員になるためには、厳しい試験対策をしなければなりませんし、どのような職場に配属されるかにもよりますが、公務員なら趣味を楽しむ生活ができるかもしれません。

しかし、もし民間企業を目指すのなら、好景気をチャンスに働くことを第一に考え、「自分に適性のある会社」選びをするべきだと思います。ラクすることを前提に考えるのでは、これからの就活での成功は厳しいと言わざるを得ません。

⑥自分が何をやりたいのか最後までわからなかった

「やりたいことがわからない」

これは多くの就活生が挙げる悩みです。しかし、やりたいことがわからないと内定はとれません。なぜなら、最終面接で聞かれることが、この「やりたいこと」だからです。

あとでくわしく述べますが、最終面接では、「価値観が自社に合うかどうか」が判断されます。価値観は、何がやりたいのかを聞けば判断できます。なぜなら、「やりたい」は自分の価値観に基づく欲求ですから。これを聞けば、自社に適しているかどうかが判断できます。

ですから最終面接では、自己PRや志望動機よりも、「あなたは何がやりたいのですか?」ということが聞かれます。もちろん最終面接に出てくるのは役員や社長ですから、志望動機や自己PRよりも、仕事に直結したやりたいことのほうが興味があるからとも言えます。

いずれにせよ、やりたいことがわからないと「自分に適性のある会社」が見つからないだけでなく、最終面接を突破することができず、その結果、内定することができないのです。

 

7 「大企業病」の非効率な就活は、今すぐやめよう

さて、誤社を選んでしまう原因の1つ目、「いい加減な企業選択」の6タイプをご紹介しました。原因の2つ目は、非効率な就活をしているということです。

日本経済新聞社の調べによりますと、就活生は平均して、エントリーした会社数が85.3社、受けた会社は23.3社、内定した会社が1.5社となります。

2015年度(2016年卒生)の就活は、解禁が3月に変わり、8月から本試験が始まることになりました。これは経団連(日本経済団体連合会)の就職協定に基づくものですが、この協定を守るか守らないかで、企業は大きく2つに分かれたようです。

ひとつは守らないで、3月解禁とともに試験を開始したグループ。こちらは5月の連体前後で内定を出しました。選考活動期間は約60日となります。

もうひとつは協定を守ったグループ。こちらは4月の中旬から5月の初旬くらいに採用を始め、8月に内定を出します。活動は約100日と長くなります。

一方、株式会社マイナビによりますと、就職協定が変わる前の2014年度(2015年卒生) の就活では、内定までの平均選考回数は上場企業で3.3回、それに37日間かかりました。このころは選考は12月に解禁し、本試験が3月に始まりました。

14年度までは解禁12月、本試験開始3月と4か月の期間しかなかったのに対し、15年度からは解禁3月、本試験開始8月と6か月の期間があります。これを考えると、15年度は内定までの期間ももっとかかっていることが予想されます。

とはいえ、14年度、15年度のどちらの日程を考えても、85・3社はエントリーのし過ぎ、23・3社は受け過ぎです。なぜこうなってしまうのか? 図115をご覧ください。

ほとんどの就活生が機械的に自己分析を始め、自己PR発で就活をしてしまうことは先述しました。これが、いろいろな会社をむやみにたくさん受けてしまう事態につながります。

なぜなら、相手=会社を起点としないで自分を起点にすると、いろいろな業界を横断的に見て、そのいろいろな業界の上位の会社だけを受けてしまうからです。ですから、必然的に受ける会社間の関係は薄くなります。業界の中位以降も見ようとしません。

たとえば、トヨタを受けて、三井住友銀行を受けて、電通、サントリー、資生堂などを受けていくのです。決して広告業界だけに集中して、電通、博報堂、ADK、大広と受けていくようなことはしません。したがって受ける会社の数は多くなり、反比例的に勝算は低くなるのです。

一方、図115の下のように、志望動機を起点として意中の業界を定め、さらにそれと関連した業界を次点として、中位くらいまでの会社を受けていくほうが勝算は高くなります。これですと業界の研究も十分できますし、なにしろ受ける数が少ないですから、徹底して企業研究ができます。

しかしそうではないと、浅い企業研究でたくさんの会社を受け、とても効率の悪い就活をしてしまいます。これが「自分に適性のある会社」を選べない原因の2つ目です。

 

8 「自己PR」ではなく「志望動機」にこそ、真価は表れる

3つ目の理由は、「志望動機」が問題であるのに、それに気づいていないことです。

就活で、まず直面する壁がエントリーシート(ES)です。これは三種の神器ならぬ、「四種の神器」から構成されていて、その内容は、「学生時代に力を入れたこと(通称、学チカ)」「自己PR」「やりたいこと」、そして「志望動機」となります。

どの企業を受けるかにかかわらず、就活ではまず初めにこれを書くことになりますが、最初の3つは「自分」が主語なのでなんとか書くことができます。〈自分〉が力を入れたこと、〈自分〉のPR、〈自分〉のやりたいことですから、内容の巧拙はともかく、欄を埋めることはできます。

しかし「志望動機」だけは、「会社」を主にしなければならないので、すんなりとは書けません。また最初ですからまだ「自分に適性のある会社」が定まっていないこともあり、ほとんどの就活生が後回しにします。そのうちに提出期限がきて、結局いい加減な記述をして提出してしまうのです。

いい加減な記述とは、履歴書の模範文例にあるような、「貴社の成長性に感銘して」とか「貴社の伝統に感銘して」などです。そして、「どうせみんなこんなものだろうから、差がつきはしないだろう」と勝手に思い込みます。その通り、差がつかないのならこれでいいのですが。

ところが、図116の円グラフをご覧ください。これによると、学生の自社や業界への興味が足りないと感じている採用担当者は62.3%もいます。自社や業界への興味は志望動機に書くものですから、言い換えれば、採用者は志望動機に不満を持っていると言えます。不満を持っているのですから、志望動機で決定的な差はついてしまうのです。これは、私の知人の人事関係者たちに聞いても同意見で、誰もが「どの会社でも通用するいい加減な志望動機を書いてくる」と不満を述べます。

さらに下のグラフをご覧ください。「自社や業界への興味」が足りないために大きな影響があったのが、面接だということがわかります。それも全体で70%強と圧倒的な数字になっています。これは一体どういうことなのでしょう?

就活生の年齢は20代前半です。 一方の面接官は40代、50代が多いでしょう。このふたりがもし1対1で話し合うことになったとしても、共通の話題はほとんどありません。世代が違いますし個人の関心も違いますので、話が続きません。

しかし面接でしたら、このふたりに共通の話題があります。それは、その会社についての話です。そこに勤めている面接官と、その会社を志望する学生ですから、それに関する話題は豊富なはずです。そしてその共通の話題が書かれているところ、それが志望動機なのです。

ですから、志望動機が会社の情報にあふれ、きちんとしていないと、面接官と就活生の話はかみ合いません。志望動機がきちんとしていないと、面接に悪影響が出てくるのは当然なのです。

しかし、大多数の就活生は志望動機に重きを置きませんので、その出来が悪いだけでなく、「自分に適性のある会社」を選ぶこともできません。

 

9 まずは、就活に必要な「四種の神器」をそろえよう

「自分に適性のある会社」を選び、誤社を避けるには、どうしたらいいか。それは正しい戦略に基づいて、就活を考え、行動することに尽きます。

何も考えず、勧められるままに自己分析から始め、自己PRを起点として会社を選ぶ。これがよろしくないと先述しましたが、正しい戦略は、これとは逆に志望動機から始めます。まず「自分に適性のある会社」を想定して、その業界を志望する理由、その会社を志望する理由、その職種を志望する理由を考え、「自分に適性のある会社」のニーズを把握します。

自己PR起点ですと、相手のニーズは関係なく、自分本位の自己PRになります。

すると、この自己PRが「自分に適性のある会社」に合うのかどうかわかりません。ですから、適合するまでに無数の企業を受け続け、たいへんな徒労となります。

しかし志望動機起点ならば、「自分に適性のある会社」のニーズをわかったうえで、それに適合する自己PRをつくればいいのです。こうすれば、「自分に適性のある会社」に対する大きな価値をつくることができます。一方、会社のニーズがわからなかったり、わかっても自分にそのニーズを充たす価値が見出せないときは、「自分に適性のある会社」ではないと判断することもできます。これならば、誤社を選ぶことがありません。

なにより、「自分に適性のある会社」のニーズがわかると、それに合わせて自己PRも書きやすくなります。たとえば、「自分に適性のある会社」のニーズが行動力だとわかれば、自分の過去の経験から行動力に関するエピソードを考えてみればいいのです。これならば、時間をかけて自己分析をする必要はありません。そして、後述しますが、このエピソードが「学チカ」や「自己PR」につながるのです。

さらに、やりたいことは、志望動機と自己PRを掛け合わせてつくることができます。詳細については別記事で述べますが、相手のニーズと自分ができることを掛け合わせますので、説得力が出ます。なにより、志望動機と自己PR、やりたいことが密接に結びつくようになります。

通るESとは、志望動機がしっかり書かれていて、「四種の神器」が統一されているものです。とくに志望動機は最も差がつくところなので、その完成度が高いと際立ち、その他が統一されることでその人の人間性が見えやすくなります。